こんばんは

毎週土曜夜8時恒例の保有車両紹介です。

CIMG5217


本日はKATO ク5000形貨車をお送りします。

CIMG5203

自動車産業の成長や需要の増加に伴う製品としての乗用車輸送量急増により鉄道でも乗用車輸送を行うこととなり、1966年に開発・登場したのが自動車運搬貨車ク5000形です。
それまでの自動車輸送は無蓋車に積んでの輸送や、特定車種専用の私有貨車で行われていましたが、ク5000は汎用性を持たせ様々な車種の輸送に対応している事が大きな特徴です。荷台は2階建て構造で、自動車は積み下ろし用の専用設備を自走して荷台上を走行し、簡易なタイヤ止めを用いて荷台上での転動を防止する方式で、これにより様々な車種の積載・輸送に対応します。1両につき8~12台の積載に対応します。

900両余りが製造され、当初は貨物列車の一端に数両が連結されての運行でしたが、後にク5000で統一された自動車輸送専用列車が登場し、長い時には20両編成もの編成に「アロー号」と名付けられ中京地区をはじめとする自動車工場に近い貨物駅より各方面へ発送され、高度経済成長期の自動車産業を支えることとなりました。


CIMG2201 (7)


しかし1970年代に入ると、国鉄で相次いだストライキや運賃値上げなどから自動車メーカーは陸送や船舶での輸送に切り替えた結果鉄道での輸送量は減少を続けることとなり、早くも大量の余剰が発生し一部は台車など一部部品を他の貨車に転用する形で廃車となる車両も発生しましたが、日産自動車は他社が鉄道輸送を止めた1980年代以降も輸出用自動車運搬列車「ニッサン号」などで長く用いました。民営化時にはニッサン号に使用される100両に満たない車両がJR貨物に継承され、朱色一色から「トリコロールカラー」と呼ばれる青・白・赤の塗装に変更され引き続き使用されましたが、1996年までに輸送を終了し全廃となりました。

CIMG5016
プラレールや図鑑などで目にする機会は多かったですが90年代にはすべて運用を終了しており遂に実物を目にすることはありませんでした。
ありそうで少なかった「クルマを運ぶ貨車」。その姿は模型となって生き続けます。

CIMG2201 (8)

かつてはKATOの他にトミー香港やそれを引き継いだ河合商会も発売されていましたが、現在はKATOの独壇場です。近年積載自動車共々リニューアルを果たしたりトリコロールカラーの晩年仕様が出たりと何かと話題ですが、当社に所属するのはリニューアル前の製品です。単品発売のみだったのでほうぼうの模型店をめぐって20両を仕入れました。


・お手入れ

2ec31315


製品状態ではトヨタ・クラウンが上下に3台・合計6台搭載されています。何となくスカスカ感がありますね。
更に自動車のタイヤはホイールと同じく銀色となっており何となくおもちゃっぽい感じです。

IMG_1146


なので6台積載を前後間隔を詰めて8台積載に変えます。そうすると積載用自動車が不足しますがクラウン単品も6台入で売っているので追加で購入しフル積載としました。1両あたり8台×20両なので160台のクラウンが載っています。長らくクラウンのみでしたが、晩年の「ニッサン」号用に90年代に製造された日産の自動車が近年ラインナップに加わっています。

IMG_8582IMG_8585
自動車はタイヤとホイールを塗り分け、更にテールライトを赤く着色するという工事を160台全車に施工しました。
骨の折れる作業でしたが外観的にもおもちゃっぽさは若干影をひそめるのでおススメです。

IMG_8583


施工前と施工後。なお車体と足回りと窓ガラスは分離できる構造なので塗り替えなども容易なのでお好みの色にしてジオラマに飾るのもヨシです。
調べてみたところトヨタ・クラウンは高級車の部類に入るみたいですね。そんなのが160台も乗っている列車は果たしてあったのかと言う細かい事はあまり考えずにやっています。

CIMG4981


こうしてみっちり自動車が載ったク5000。実物は機関車のパンタグラフから飛散する鉄粉で自動車が汚損するのを防ぐため積荷の自動車にカバーがかけられており、模型も近年リニューアルでカバー付きの自動車が発売されていますが、以前貸しレで転がしていた時に「クルマ運んでる!!!」とク5000を知らないであろう世代のチビッ子からお褒めの言葉?を頂いたため…本音は今更載せ替え出来ないため、自動車むき出しのままとしています。

CIMG4978


一部車両はブレーキ装置が両抱き式から構造が簡単な片押し式に改造されていたため、台車の外側のブレーキ装置を切除しそれっぽく仕上げています。

CIMG5180CIMG5182
台車はTR63Cコイルバネ台車を履きますが、先述の通り後期にはブレーキ装置の構造簡素化を図った片押し式ブレーキに改良したTR63CF(右)に改造しています。

CIMG4982


他の貨車とは異なり他との混成を想定せず固定編成を組むことからアーノルドカプラーではなくKATOカプラーNを装備します。

CIMG3598CIMG3603
ク5000側がKATOカプラーのためアーノルドカプラー標準装備の機関車とは直接連結できず、また鉄粉飛散による汚損防止の観点から機関車とク5000の間に車掌車を挟む事が多かったとの事から、ク5000編成専属の車掌車2両(ヨ6000・ヨ5000各1両)を選定し組み合わせて運用しています。ホイールベースの長いヨ5000の方が適していそうですがせっかくライトが付く車両を編成中間に置くのはどうかと思いヨ6000で代用しています。

・ギャラリー

IMG_1121


整備中の様子。
同時期に入線した横浜市営地下鉄3000A型と並びます。

CIMG2201 (9)


時代設定上車掌車が必ず最後尾となるため自然と車掌車が目立つ編成となりますが、朱色と黒の対比がよく目立ちます。

CIMG2201 (10)


しかし20両編成は長大すぎて貸しレ(特にポ●ンデ△タの在来線)には収まらないため、模型メーカーの完成品よろしく基本セットと増結セットに分け、基本的には11両+車掌車2両の編成で運用し、フル編成になるのは比較的大規模な貸しレに限定されています。

CIMG3607


1960年代から80年代にかけて活躍したこともあって様々な牽引機と組み合わせてたのしめます。まずはEF15。


CIMG5184CIMG3627
EF60・EF65-0などの貨物専用機との組み合わせは定番ですね。EF65-0はコレを牽かせる為に買ったようなものです。

CIMG3629CIMG3628
特急牽引機のEF65-500番台も旅客列車牽引の任を解かれてからは盛んに用いられたようです。

CIMG3630CIMG3631
EF65-1000番台の中でも前期型は東北本線でのク5000牽引によく充当されていたようです。トリコロールカラーの晩年仕様の牽引にピッタリです。

CIMG3632


ハイパワー機EF66も国鉄末期は牽引に当たったとか

CIMG5213CIMG5204

マンモス機ことEH10での牽引。黒と赤の対比がまた面白いです。

CIMG3636


同じ赤系のED75は東北本線仕様ですが実物は同線に存在する急勾配対策で重連での運用だったとの事。

CIMG3634


ク5000はJR化後早いうちに全廃されてしまいましたが、もし今でも残っていたら…という想像でEF510-500番台での牽引。こういった「If」が出来るのも模型ならではの楽しみですね。自由に楽しみませう。

EF510-500番台は「北斗星用に導入しましたが肝心の客車が未だに入らず、こういったお遊びに付き合わされている始末。早いとこ客車を導入してやりたいところです。

CIMG2201 (2)

と話が脱線しましたが、かつて存在したユニークな貨車の話でした。

CIMG5065
現代もコンテナに積んでの積載や、パーツ単位での輸送はあるそうですが、この様に何が積んであるのかひと目でわかる貨物列車というのも最近は減って見た目的にはさみしいものがあります。

最後までご覧いただきありがとうございました。