こんばんは

残暑が厳しいので相変わらずネタを追い回すこともままならないためちょっと昔のネタに走ります。

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山手線へのE235系投入により総武・中央緩行線に転用されたE231系500番台によって、従来から活躍するE231系0番台・209系500番台は一部を除いて置き換えられ各路線に散らばりました。
そんな総武中央緩行線60本(E231系47本・209系13本)の中でも特異な存在だったのがこのミツB901編成。今回はこの編成についてお送りしませう。

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1992年に登場した209系でその基礎を確立したJR東日本の一般型電車でしたが、さらなる新技術を取り入れた試作車両として1998年に登場した、E231系のプロトタイプとなる車両です。
当初は「209系950番台」と称し209系の一員でしたがその中身は完全に別物であり、2000年以降に登場する0番台・500番台・800番台・近郊タイプのベースとなりました。
登場以来一貫して総武中央緩行線にて使用されましたが、E231系500番台の転入により22年に渡る同線での活躍を終えました。

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900番台と0番台比較(1枚目:900番台・2枚目:0番台)
量産車にほぼ仕様が踏襲されるなど完成度の高さを感じさせる900番台ですが、量産車との微妙な差異は存在します。特に
・窓ガラス(900番台:グレー・0番台:緑)
・JRマークの位置(900番台:先頭ドア戸袋部・0番台:妻面側帯)
・クーラーの形状(この写真では判別できない)

が有名な点で、更に細かい点を見ると

・VVVFインバータ制御装置がMMユニットごとに異なり(千葉方:日立・三鷹方:三菱)、音も量産車(日立…近郊型・三菱…通勤型)とは微妙に異なる。
・ドアエンジンはリニアモーター式(後年通勤型と同一のスクリュー式に交換)

などの差異があります。
これがデビューした当時に一度だけ当たりましたが、普通の総武線用とは音やドア開閉音が違って興味をそそられた記憶があります。

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内装については、先述の窓ガラスの色以外全くと言っていいほど差異がありません。

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ただし両先頭車の車輛中央の窓は後年開閉化が行われており、そこだけ209系と同様の上下2分割式で開閉する構造となっています(写真ではわかりにくいが)。

クハE231-901ナンバー


ナンバー。
207系や209系の900番台なき今、首都圏はもちろんの事、日本に残る数少ない「900番台」の電車です。

クハE231-901編成札


編成番号はナンバーをそのまま流用しているので「ミツB901」編成となっています。当初は103系の続き番でミツ24編成だったとの事。

クハE231-901プレート1


製造プレート。
平成10(1998)年新津車両製作所製と表記されていますが実際は1-5号車(千葉方)が東急車輛製・6-10号車(三鷹方)が新津車両製作所製との事。209系からE231系への編入時に貼り替えられたのですかね。

クハE231-901ローレル賞プレート


数々の新機軸を採用したすぐれた車両として、量産車の登場を待たずに2000年の鉄道友の会ローレル賞に選定されています。なおこの年は700系新幹線や広島電鉄5000形「グリーンムーバー」が同時受賞となっています。

サハE230-901-2


6ドア車サハE230-901。それまで6ドア車はサハ204・サハ208のみでしたがE231系によって広幅車体の6ドア車が誕生する事になりました。4ドア車同様グレーの窓ガラスが判別点です。

サハE230-901プレート


製造プレート。此方も東急車両製ですが新津製のものになっています。
E231系での6ドア車はその後山手線に1編成2両導入されるなど更に導入拡大の兆しが見えましたが、各線の混雑緩和やホームドア整備によりE233系では廃止され、E231系からも2011年に山手線から、2020年には最後まで残った総武中央緩行線から引退し、日本における6ドア車の歴史の最後を飾ることとなりました。

関連記事→イエローラインの6ドア車の記録

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1編成のみの存在で、総武中央緩行線乗車時には当たるかどうか毎回ワクワクしたミツB901編成も今春、三鷹電車区をあとにしました。かつて207系や209系の900番台がそうであったように、試作車ゆえの特異さから早期に廃車となるのではと懸念がありましたが、何とナンバーも900番台のまま武蔵野線に無事再就職が決まりました。編成番号はプロトタイプ編成ゆえかトップナンバーの「MU1」が与えられています。
機器更新により独特の走行音は聞けなくなりましたが、窓ガラスなど他のE231系とは一味違う部分もそのまま残っているようなので、そのうち会いに行きたいところであります。

最後までご覧いただきありがとうございました。