こんばんは
土曜夜8時の保有車両コーナーであります。
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本日はTOMIX コキ50000形コンテナ貨車をお送りしませう。
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高速道路網の発達に伴い国鉄は貨物輸送のスピードアップと効率化を図るべく、コンテナを用いた自動車との共存体制を敷いたフレートライナー方式の導入を進めることとなり、コンテナの大型化と貨物列車のスピードアップに対応する新しいコンテナ貨車として1971年に登場したのがコキ50000形です。
従来の国鉄コンテナ輸送は11ftコンテナをコキ5500・コキ10000に5個積載する方式でしたが、コンテナの大型化に伴い上記2系列では4個しか積めなくなるため、コキ50000では従来のコンテナ車より車体を延長し20m級とし12ftコンテナ5個積みに対応。最高速度は95㎞とコキ10000よりも若干落とされましたが、電磁ブレーキなどの特殊装備が無く牽引機も限定されない高い汎用性と積載能力の両立に成功しました。

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コキ50000と車掌室付きのコキフ50000の2形式が合計で3000両余りが製造され、ヤード輸送方式から直行型輸送への輸送体系変更による貨物列車の速達性向上に大きく貢献。JR化後に誕生したコキ100系列と共に貨物列車の主力として広汎に運用されました。最高速度は95㎞でしたが、一部はJR化後のスピードアップに対応するため改造が行われ110㎞まで対応可能となっています。貨物列車の車掌乗務廃止後、コキフは車掌室を撤去しコキ50000に編入されています。こうして、衰退著しかった日本の鉄道貨物輸送の復権に大きくかかわったコキ50000でしたが、登場から30年以上が経過した21世紀に入ると後継系列のコキ107などが大量増備されて退役が進み、2018年までにすべて運用を終了しました。

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現代の鉄道貨物の主力であるコンテナ車。ヤード方式でいつ届くか判らない輸送体系を棄て、直行型の迅速・正確な輸送体系に変えたのは遊休化した操車場や機関車などを出してしまいましたが結果的に鉄道貨物輸送が生き残る大きな一手となったと言えるでしょう。

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・模型について
その汎用性と長い活躍機関からか未だ人気の高いコキ50000。TOMIX・KATO・マイクロエースから製品化されており、台車が黒の国鉄時代とグレーのJR化後、さらには高速化対応改造車など様々なバリエーションが存在。コンテナ着脱可能な仕様とコキフのテールライトは各社とも点灯するため、コンテナ一体型で比較的廉価なKATOのコキ5500・コキ10000と比べると少々値が張りますが、値段相応のリアルな造形です。

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保有するのはTOMIX製品であり、貨車を新品で揃えるのがアレなケチな性格のため全車ともジャンクコーナーから掘り出しています。1両800円位ですかね。時折古いプラ車輪の製品を掘り当てるので余っている金属車輪に交換。コンテナも安売りしていた国鉄仕様の物を搭載しています。

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コキフもよく覚えていませんがそこそこいいお値段であったものです。
但し設計は古く、テールライトがLED直付けというものすごい構造。現代ではチップLEDを床下に仕込んで細いプリズムで導光する手で点灯化していますがこの製品ではLEDが左右1個ずつテールライト部分にぶっ刺さっており基板も露出。リアルさの欠片も無い構造ですが、点灯させるにはどうしたらいいだろう、という限られた材料や技術の中での先人達の苦労や工夫を読み解ける貴重な製品であります。

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・お手入れ
車掌室側のカプラー交換程度で主だって凄い事はしていませんが、先述の通りプラ車輪の金属化と、ジャンクで買ったため足りないコンテナを買い足し積載しています。2個ほどコム1タイプに付属する「11ftコンテナの皮を被った12ftコンテナ」を積載しているのでそのうち取り替えてやりたいところ。

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着脱式のコンテナなので多種多様な積み方が出来ます。

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コキのうち1両にはKATOの後部標識を取り付けてコキフなしの時代も再現可能。

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台車はTR223形を装備。JR化後に台車枠交換が行われた際にはグレーに変更されました。

TR223(コキフ50000)
コキフもTR223形を装備しましたが、乗り心地に難があったため後年余剰となったコキ10000の空気ばね台車TR203と振り替えた車両も存在。余ったコキ10000の車体とコキフ50000の台車は組み合わせられてレール輸送貨車チキ5200に改造されます。
後年車掌室撤去時に元の台車に戻されますが元々の台車が足りなくなり、やむなく一部はTR203のままで運行されますが、台車の許容重量の関係でコンテナを4個しか積めず早期に廃車となっています。

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従来のコキとの比較。比較用写真ではないのでわかりづらいですが…
コンテナの大型化に伴い、コキ50000では丁度いいサイズで舌が従来のコキ10000・コキ5500では長さが足りないため、やむなく間隔をあけたうえで4個積みとしましたが、明らかに積載効率が悪く現在では淘汰されています。

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コキ50000サイドビュー。
車掌室部分が丁度コンテナ1個分相当です。

・詰んでいるコンテナ
C20
C20形
1971年よりコキ50000と組み合わせて搭載するため製造された、従来より大型となった12ftコンテナ。
現在でもこの仕様は多くのコンテナに踏襲される。

C21-1
C21形
クレーンでの荷役に対応するため、上部四隅に吊り金具を装備し識別のため青帯をまいたコンテナ(表記が入ってないもの)。

C31
C31形
C20では妻面のみ開閉であったのを片妻面・片側面の2方開きに改良し作業性を向上させたコンテナ。識別のため赤帯をまく。

C35-1
C35形
C31をベースに、全高を若干高くし内容積を増加させる一方で製造コスト・重量の削減を図ったコンテナ。それまでのコンテナとは異なり青で塗装され、「コンテナブルー」と通称され後にJR貨物のコーポレートカラーとなる。

UT1
UT1形
液体・気体・粉類などを積載する私有タンクコンテナ。


・ギャラリー
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ク5000・レサ10000と共に統一された編成が美しいコキ50000編成。

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車掌乗務は国鉄時代に終了しており、貨物列車や貨車の一端に車掌車や車掌室がくっついてる姿は、見た事のない世代にとっては中々新鮮ですね。

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機関車なら何でも牽引できるのがコキ50000の強み。色々な機関車で牽引しませう。
まずはEF65-0。

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コキ10000系列用に開発されたEF65-500F型も10000系列貨車の全廃により後年はコキ50000などと手を組むことに。

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EF65-1000PF前期型での牽引は東北本線系統の貨物。

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ブルトレ牽引用のEF65-1000PF後期型も戦列に加わります。

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日本海縦貫線を走るEF81牽引のコンテナ貨物。日本の物流の大動脈の一つです。

この他にもDD51での牽引や、時代的にSLでの牽引も見られたと思われますが…実際あったのでしょうか。
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通販などの増加により近年ますます重要度を増す「物流」。指定した時間・場所にちゃんと届くという現代のシステムになるまでは紆余曲折と並々ならぬ労苦があったと思われます。

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システムも人も輸送手段も、日常の「便利」を支える存在。最大級の敬意を払っていきたいですね。

最後までご覧いただきありがとうございました。